日本職業リハビリテーション学会 第49回宮城大会

ご挨拶

 第49回大会は第11回大会以来39年ぶりに宮城県で開催すべく準備を進めてきましたが、新型コロナ感染症の今後の状況が見通せず、オンライン開催に変更となりました。
 杜の都・仙台で皆さんをお迎えすることができず大変残念ですが、研究・実践発表や自主ワークショップをライブ配信することで参加者相互の意見交換を確保し、なるべくリアルな大会に近づけたいと考えています。また、基調対談、大会主催ワークショップ、理事会主催の鼎談、国際委員会主催の国際シンポジウム、研修委員会主催の研修講座など各種プログラムをオンデマンド配信することで多くのプログラムを受講可能にすると共に、オンデマンド配信プログラムの講師と意見交換できるライブ配信の場も用意し、皆様の参加をお待ちしております。

 第49回大会のテーマは「職業リハビリテーションにおける立場性を考える」としました。
 職業リハビリテーションは、職業上の困難がある人、家族、支援者、企業、行政など様々な立場の人が関わっていますが、それぞれの立場に固執すると、関係者間の連携や政策立案などいろいろな場面でマイナスの影響が出てくる可能性があります。
 相手の立場と自分の立場を理解し、共通の目標を見出し、力を合わせることが求められますが、所属する組織やそこでの職位、業績や営業成績など身過ぎ世過ぎの問題にそれまでの経験や個人的資質なども複雑に絡まり、相手の立場を理解することさえ一筋縄ではいかないときもあるかもしれません。
 このような職業リハビリテーションにおける立場性を考える切り口は様々ありますが、職業リハビリテーションの複数の立場を経験することで見えるものを切り口にすることも可能でしょう。
 例えば、大会長の私は、長年、支援者や研究者の立場で職業リハビリテーションに関わってきましたが、障害のある子供の父親として特別支援学校の進路相談や支援を受ける立場も経験しています。障害のある子供の父親として相談や支援を受けるときは、支援者や研究者の立場から見ていた風景とは異なる風景が見え、その経験は、支援者や研究者としての自分に何らかの影響を与える一方、支援者や研究者としての経験は、障害のある子どもの父親としての自分に少なからぬ影響を与えており、それぞれの立場について考えさせられます。
 基調対談は、社会福祉法人太陽の家理事長の山下達夫氏を迎えて行います。山下氏は、障害のため小学校の頃は母親が同行し介助するとの条件付きで通学が認められ、高校卒業後、太陽の家に入所しましたが、当時の福祉工場に入社できませんでした。その後、特例子会社の三菱商事太陽株式会社の設立を機に、システムエンジニアとして就職し、障害者雇用室長や社長を経て同社会長、2018年から太陽の家理事長の経歴をお持ちです。
 基調対談では、立場の違いによる視点の違いやそれに由来する支障などを踏まえた上で、支援や訓練を受ける立場、雇用される立場、社員を指導する立場、社員を雇用し企業や社会福祉法人を経営・運営する立場など様々な立場を経験している山下氏と、複数の立場を経験したことから見える障害者雇用や就労支援の在り方などについて話し合います。
 職業リハビリテーションの実践場面はもちろんのこと、研究の着想や調査で把握されたデータを分析する際も、政策を検討する際も、立場の問題を無視することはできないでしょう。基調対談以外のプログラムでも、本大会のテーマを頭の片隅に入れて参加していただければ幸いです。

第49回宮城大会大会長 相澤欽一
(元 障害者職業総合センター主任研究員)

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